2011年11月20日日曜日

428 〜封鎖された渋谷で〜

とりあえず本編クリアしたので感想を。

概要
物語は、ある誘拐事件での身代金受け渡し場面から始まります。当初は、事件を担当する刑事と渋谷の若者2人がそれぞれの視点から事件に絡んでいくのですが、事件が進むにつれて登場人物が増えていき、事件に様々な面から影響を与えていきます。

ゲームは1時間ごとのタイムスロットに分かれており、すべての登場人物で現在のタイムスロットを無事に走破しきれば次の1時間に進むことができ、この流れを繰り返して最後まで到達すればクリアになります。

前半はストーリーがダルく、後半はシステムがダルいのだけど、全体としてはプレイして損はない作品です。特に、iPadやiPhoneでこれだけのレベルのゲームはほとんどないので、iPad/iPhoneユーザーでゲームが好きな人はとりあえず買ってしまって問題ないと思います。

総評
80点
前半は事件の全体像やそれぞれの登場人物の行動がどういった意味を持っているのかわからずストレスが溜まりますが、中盤で事件の全貌が見えた後は一気に面白くなっていきます。終盤に向かうにつれて各登場人物の物語が収束していき、最後はまた当初の登場人物にフォーカスしていくのも良い点です。感触としては、24シーズン1に近い感じです。

ただし、複数の登場人物を扱うシステムがあまり洗練されておらず、後半に向かうにつれて煩雑になっている点は残念なところ。

登場人物のキャラクターは立っており、熱いオッサンが多数登場するのは個人的に気に入りました。萌えとか一切関係ない、オッサン達の悔恨と情熱のストーリーには何度か泣かされそうになりました。

おまけ要素にも驚かされました。オープニングでちらりと見えた奈須きのこ(Fateや空の境界で有名な人ですよね)がどこで絡んでいるのか、本編をやっている間はまったくわからなかったのですが、本編を終えてはじめてわかりました。あからさまにわかりました。予想外の展開なので奈須きのこファンは楽しみに待っておいてOKです。

システム
50点
低めです。多数の登場人物を扱うことから、システムもやや複雑にならざるを得ないのですが、そこをうまく吸収しきれなかった部分があるのは否めません。
このゲームにおける特徴的なシステムとしては、「KEEP OUT」と「BAD END」があります。

KEEP OUT
「KEEP OUT」は、特定のキャラだけでシナリオを進めていると突然「KEEP OUT」と表示されて先に進めなくなるもので、他キャラのシナリオで出てくる「JUMP」というリンクを選択して「KEEP OUT」を解除するまでそのキャラのシナリオを進めることができなくなります。

BAD END
「BAD END」は、これ自体では他のノベルゲーで良くあるシステムですが、このゲームでは1キャラだけでシナリオを進めていると問答無用で(選択の余地なく)「BAD END」になる点が特徴的です。通常のノベルゲーなら、自分が正しい選択肢を選んでいる限りは「BAD END」にはならないのが普通ですが、今回はそうしたゲームとは比較にならないくらい多くのBAD ENDを目撃することになります。こうしたBAD ENDを回避するには、他キャラのシナリオを進めて何かしらの選択肢を選び、状況を変えた上で元のキャラのシナリオをやり直す必要があります。

これらは、複数人物によるシナリオ展開をバランス良く進める目的で導入されたものだと思うのですが、他のキャラクターで選択肢を変更した後に元のキャラに戻る…といったことを繰り返す必要があります。複数のキャラクターがほぼ同じ場面をトレースすることも多いため、重複感があって面倒に感じる場面が多いです。

スキップが使いづらい
こうしたシステムのために、(他キャラで状況を変えながら)同じキャラのストーリーを何度かリトライすることが多いのですが、スキップシステムがあまり快適でない(同じテキストでも飛ばせない場合が多い)ため、各キャラの選択肢が絡み合っている場面ほど操作が煩雑で面倒になってきます。序盤は各キャラが比較的独立して動いているので影響が少ないのですが、後半になるにつれて各キャラ同士の関連が強くなってくるため、ストーリーの盛り上がりと反比例するようにシステム面の煩雑さが目立ってくるのが残念なところです。

ただ、複数の登場人物同士の行動をうまく自分の頭の中でつないで正しい時と正しい選択肢を見つけ出し、結果BAD ENDを回避できた時にはノベルゲーらしからぬ爽快感があるのは良い点です。

ストーリー
75点
ざっくり言えば、日本版24みたいな感じです。24のようにタフガイがひたすらバトるだけではなく、普通の人たちが事件の核心に踏み込んでいく点は非常に日本らしいところです。
いくつか予想外の展開もあり、またおっさん達の泣かせる話や熱い話もあり、かなり楽しめました。特に後半、今までばらばらに動いていた全員の力を結集して解決にあたる展開は、お約束ながらも燃えるものがあります。

キャラクター
90点
とにかく悲喜こもごものおっさんストーリーにつきます。若手刑事、ベテラン刑事、電気屋のおっさん、製薬会社の所長、倒産寸前の出版社の社長、フリーライター…どいつもこいつも人間臭く、おっさん達の葛藤や情熱、そこから生まれる行動は非常にストーリーを盛り上げてくれました。女の子も出てきますが、そこはまぁ、別に…。

その他
この話の続編は、テレビアニメ「CANAAN」として2009年に放映されているんですね。自分は当時このゲームをプレイしていなかったのでまったく気づきませんでした。ボーナスシナリオクリア後に見てみたいと思います。こういった先の展開があるのも楽しみなところですねー。

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